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- 第726話名前: 中古参者
- タイガ演劇顛末記 上演編(1/8)
◆赤いマフラーは不死身のしるし(1/2)
「あの兄を討って!!」
心の内の悲しみを押し殺して発せられたトキムネの命令による矢の雨がトキスケに襲いかかる。
燃えさかる館の炎の中にトキスケの姿が飲み込まれていく。正妻の子でないが故に、常に
日陰の身であった不幸な男の一生が今ここに終わったと歴史には記録された、はずであった。
時は移り、ここは高麗・合甫のとある海岸。
日本遠征に向けて九百艘の軍船が建造中である。そこにはフビライの腹心の部下リョーヒツが
軍船建造の現場視察のため訪れていた。
「アイゴー、リョーヒツニム。こんなにたくさんの船を造らされてはウリナラは破綻して
IMFの管理下に置かれてしまうニダ。何とかしてほしいニダ」
「これは大ハーンの命令アルからどうしようもないアル。泣き言いってる暇があるなら
もっと気合い入れて船つくるヨロシ」
しかし、この全ての船にはもれなく半島特産ウリナラタイマーが付いていることを
リョーヒツはまだ知らなかった。
その時、後ろからリョーヒツには聞き覚えのある声が。
「お久しぶりでござる。リョーヒツ殿」
赤いマフラーも目にまぶしく、そこにいたのは死んだはずのトキスケであった。
タイガ演劇顛末記 上演編(2/8)
◆赤いマフラーは不死身のしるし(2/2)
「エッ?!」
舞台そででニホンちゃん、タイワンちゃん、アーリアちゃん、ウヨ君が慌てています。
「ど、どうしてこんな展開になるのよ?!
あたしたちが持っている台本の内容と違うじゃない!!」
タイワンちゃんが台本を開きながら叫びます。
「どうしたんだい? お嬢さん達。何をそんなに慌てているんだい?」
彼女らのただならぬ様子にマカロニーノ君がやってきます。
ニホンちゃんは震える声でマカロニーノ君に訴えました。
「ち、違うの。この場面。
わたしたちの台本ではトキスケはもう死んでしまったことになってるの」
「ええっ?! 本当かい? それは変更になる前の台本じゃないか」
「いったいどういうことだ?! マカロニーノ!
通し稽古も済んだ後での脚本変更など異常ではないか?」
アーリアちゃんがマカロニーノ君の胸ぐらを掴みながらかみつきます。
「い、いやぁ。ボクもおかしいとは思っていたんだけど
サヨックおじさんが有無を言わせず新しい台本を………………」
「あ、あいつ〜!! やってくれた」
ウヨ君は額を押さえながらうめきました。
「ど、どうしよう? フランソワーズちゃん…じゃなかった、○影先生?」
「フッ……×ヤ、あなたは×の×面を持っている。まだ荒削りだけれどもあなたの演技には
不思議と人を引きつける魅力がある。そう、人はあなたのことを“××荒らし”と呼ぶでしょう。
しかし負けずに“×天×”への階段を上るのです。“××の人”を××さんとWキャストで
演った時も××××で、×××××××。
×××、×××××××××××××××××××………………………」
「ダ、ダメだよ。ニホンちゃん。今のフランソワーズは全然、役に立たないわよ」
そう言ってニホンちゃんの肩を叩くタイワンちゃんの目にはかすかに光るモノが。
「みなさん随分お困りのようね」
「あっ!! サヨ!! てめえもサヨックとグルだったんだな?!」
ウヨ君の詰問に悪びれもせずにサヨちゃんは答えます。
「ふふふふふ。まあ、そういうことよ。で、この後どうする気?
よければ私があなた達のプロンプターをやってあげてもいいけど?」
「じょ、冗談言うな!!
おまえなんかに任せたらどんなセリフ言わされるかわからないじゃないか」
「そう。じゃあ、このあとはアドリブで乗り切るのね。まだまだ先は長いわよ。ふふふ」
「うっ……………………」
ニホンちゃん達は顔を見合わせました。
「し、しかたない、かな?」
タイガ演劇顛末記 上演編(3/8)
◆外患誘致のススメ(1/2)
蒙古軍の幹部が日本への出撃を前に作戦会議を行っている。そこにリョーヒツがやってきた。
「みんな聞くヨロシ。こちらは日本の地理や防備の状況を教えてくれる我の同士、トキスケ殿アル」
「チョッパリニダか? 本当に信用できるニダか?
どうしておまえはイルボンを裏切って我々にこんな情報を教えるニダ?」
「無駄な犠牲を出さないためだ。圧倒的な差で蒙古軍が博多で勝利を収めれば
トキムネもさすがに目を覚まして国を開く気になるだろう」
「ナルホド、チョッパリにはめずらしく良心的な奴ニダ。
イルボンにもおまえのような奴ばかりなら教科書問題もサンマ問題も一気に解決するニダ」
そして文永の役。
対馬、壱岐において島民の非常に痛ましい、しかしトキスケに言わせれば無駄ではないらしい犠牲が大量に出た。
蒙古軍の船上において外をじっと眺めているトキスケにリョーヒツが声を掛ける。
「対馬、壱岐の状態が悲しいアルか?トキスケ殿は悪くないアル。
悪いのはいつまで立っても目を覚まさないトキムネアル。
中華思想による册封を拒否する者に対する軍事力の行使は決して否定しないアル。
日本だろうと台湾だろうとそれは同じアル」
「な?! あの支那豚、どさくさに紛れてなに言ってやがるのよ!!」
博多戦のシーンに備えて鎧姿に着替えていたタイワンちゃんは
リョーヒツ役のチューゴ君のアドリブに思わず殺気をみなぎらせます。
#「みてなさいよ〜〜。博多のシーンではケチョンケチョンにしてやるから〜〜〜」
目を血走らせながら指をボキボキと鳴らしているタイワンちゃんの後ろで
ニホンちゃんがつぶやきます。
「タ、タイワンちゃん………………コワひ」
タイガ演劇顛末記 上演編(4/8)
◆外患誘致のススメ(2/2)
博多において日本軍は大苦戦であった。
一騎打ちを作法とする日本軍と集団戦法を用いる蒙古軍ではごく当然の結果だったかもしれない。
ムネマサは海岸でてつはうによる攻撃で片目を失った。
市街地ではヨリツナやカゲスケが蒙古軍相手に乱戦を演じている。
ヨリツナはもう完璧に狂戦士状態、既に倒れた蒙古兵をも執拗にシバキ倒す。
「や、やめられよ! ヨリツナ殿!! お主それでも鎌倉武士か?!」
カゲスケがヨリツナを制す。
「こいつらは物の怪なのよー!! これぐらいやんなきゃ効きゃあしないのよーー!!」
タイワンちゃん、もといヨリツナはその持てる体術の全奥義を駆使して大奮戦をするのだった。
その夜、日本軍は敗走し太宰府まで退却したにもかかわらず、蒙古軍は博多から引き上げた。
サヨちゃんのナレーションが館内に流れる。
“一説にはこの時蒙古軍は嵐にあったとも言われていますが本当のことは解りません。
ただ一つ確かなのは、蒙古軍は圧倒的に勝利を収めていたにもかかわらず自ら博多から撤退し
次の朝にはその姿は消えていたという事でございます”
タイガ演劇顛末記 上演編(5/8)
◆霜月騒動前哨戦
博多が蒙古の二度目の襲来、弘安の役に揺れていたとき
鎌倉でも、もう一つの騒ぎが起こっていた。
ヤスモリはトキムネの館につづく夜道を一人歩きながらつぶやいた。
「トキヨリ殿、サネトキ殿、赦してくれい」
トキムネと御家人衆の間の亀裂は今や大きく広がってしまっていた。
この時ヤスモリはトキムネを討つ決心を既に固めていた。
その時、遙か前方にヤスモリを待ち受けていたとおぼしき人影が現れる。
「!!…………………何者だ?!」
「フッフフフ、あたしよ。あたしよあたしよあたしよーーーーー!!」
「……おまえは!!」
「あんたはあたしのことをハチロウとしてしか見ていなかったから
あたしもハチロウの姿であんたを倒してあげるわ」
ヤスモリとヨリツナは剣を抜いてあい対した。
「やあっ!!」×ガシィッ×「ていっ!!」
二人は気合いが満ちると同時に剣を打ち合わせ、つばぜり合いを演じた。
「……な、なかなかやるわね。あんた」
「フッ……、おまえもな」
つばぜり合いでは勝負がつかないと判断した二人はお互い相手を押し返し
離れ際に剣を横にはらった。
キィン!!
二人の中間で剣と剣がぶつかり火花が閃く。
体勢がわずかに不充分だったヨリツナの腕に剣がぶつかりあったときの衝撃が襲いかかる。
「痛っ!!…………」
ヨリツナは顔をしかめながらジーンと痺れる腕をさすった。
「や、やったわね!!」
ヨリツナは改めて剣を振りかぶり、すごい気迫でヤスモリに打ち込んできた。
「だいたいあんた、普段からニホンちゃんにちょっと馴れ馴れしいのよ!!」
「なんだと?! おまえの方こそニホンを見る目つきがいつも妙に潤んでいるではないか!!」
二人がつけているイヤホンからプロンプターを務めるサヨちゃんのちょっと呆れたような声が
聞こえてきました。
(ちょっと、あなたたち。指示してもいないセリフ勝手に言わないでよ)
タイガ演劇顛末記 上演編(6/8)
◆世界最古のPKO(1/2)
弘安の役においては前回の文永の役と違い、博多湾には強固な防塁が築かれていたため
蒙古軍は海上に足止めされてしまっていた。そんな中、誰にも気付かれないほどひそやかに
日本を救うことになる“神風”が蒙古軍に向かって忍び寄ってきていた。
いや、ただ一人、この“神風”の接近をなぜか事前に察知していた男がいた。
そう、不死身の赤マフラー、トキスケである。彼は急いでいた。
蒙古軍による日本人民の解放をじゃまする忌まわしき“神風”から
蒙古軍の人々を守らねばならぬ。
トキスケは単身、日本軍を指揮する武将の一人ムネマサの所に乗り込んでいった。
(はい、ウヨ君。ここで驚いたように“兄上?!”と言って)
「あ、兄上?!」
「ムネマサ! 今すぐ日本側は兵を退き、蒙古軍を博多に上陸させるのだ!!」
「な、なんだと?! いくら何でもそんなバカな話………」
(ウヨ君、逆らっちゃダメ。トキスケの言うことに従うのよ!!)
(し、しかし、そこまでやったらこの劇は完璧に歴史のねつ造になってしまうぞ)
タイガ演劇顛末記 上演編(7/8)
◆世界最古のPKO(2/2)
客席でも首をかしげている人が多いようです。
「ねぇ、お兄ちゃん。あの、赤いマフラーした人いったい何を言ってるの?」
ラスカちゃんが隣のアメリー君に尋ねました。
アメリー君もこのあまりに荒唐無稽な展開をラスカちゃんどころか自分自身にさえ
納得のいくように説明することができません。
トキスケの理論のあまりの破綻ぶりに客席がザワザワし始めました。
そしてさすがサヨちゃん、この雰囲気を瞬時に読みとりました。
(しょうがないわねえ、この場はトキスケの言うことを拒否していいわ)
“神風”は蒙古の軍船をことごとく沈め、一夜が開けた。
博多湾の海岸にはいくらかの蒙古兵の生き残りが流れ着いてきていた。
(ウヨ君。海岸にいる蒙古兵の救出活動をはじめなさい)
(ハァ? なんなんだそれ? こういう時は残党狩りをするもんだろう。普通は)
(いいから早くやりなさい!! 国を越えた人類愛がこの新しい脚本のテーマなのよ!!)
「ちっ、しょうがないな。オイ、ものども!! あいつらを助けるぞ!!」
日本兵はぐったりしている蒙古兵を助けはじめた。
その時、気を失ったふりをしていた一人の蒙古兵の凶刃がムネマサを襲う。
「ゲッ! オイ、サヨ!! いったい何なんだよこの展開は」
(ハイ、ウヨ君。ムネマサはここで死ぬことになってるの。そこんとこよろしくね)
「も、もうこの劇ムチャクチャだ。いったいどうやって収拾着けんだよ。ガクッ」
「やったニダ! ウリがチョッパリを討ってやったニダ!! ウリナラマンセー!!」
客席にはひたすら
シラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
とした空気が漂っていました。
タイガ演劇顛末記 上演編(8/8)
◆そして赤マフラーは行く
世界規模の大帝国・元の脅威を退けることに成功した英雄トキムネは病に倒れ還らぬ存在となった。
トキムネを見送ったトキスケは今、再び大陸へ渡ろうとしている。
そう、日本のような古いしがらみのない新しい世界へ。
いつかこの小さき国に閉じこもる視野の狭い人々の目を覚まさせるために。
赤旗をマフラー代わりに首に巻いた男トキスケの前には無限の海が広がっていた。
幕
客席にはただひたすらの沈黙のみが存在していました。
皆、この劇をどう評価していいのか分からず、ただ呆然としていました。
その時、ポーラちゃんが小声で隣のベトナちゃんにささやきました。
「これって、ちょっと変だよね」
「ハイ。かなり変だと思います」
ベトナちゃんは言い方は静かですが、しっかりと“ちょっと変”から“かなり変”にグレードアップさせていましたとさ。
糸冬
あとがき
うあーーーー。長くて大変だったです。読む人が疲れなければいいのですが…。
元ネタは今年のNHK大河ドラマ「北条時宗」です。
自分なりに心に残った迷場面をいじってみました。ただ、自分の記憶だけを頼りに書いたので多少不正確なところがあるかもしれません。
参考としてこちらのスレなどをご覧下さい。
★自虐小川ドラマ「北条時宗」のゆくえ★
http://www.miniflo.com/bread.cgi?bbs=korea&mode=make&key=999429798&ls=50
漫画「ガ○スの仮面」からの朴李ネタが入ってるという事実には………………
おねがい、触れないで…………。(w